日田鮎やな場とは?

 やな漁とは、川を下る鮎(落ち鮎)を獲る漁法です。
 水郷日田の鮎の漁獲量は全国的に有名でしたが、昭和28年の大水害で2箇所のやな場が消失しました。
 歳月が経ち、簗(やな)漁を知らない世代が増え、伝統漁法が忘れ去られるのではという危機感がありました。
 そこで、平成元年に淡水漁法・観光の振興をはかるため「ひた鮎やな場」は設立されました。

鮎は1年魚
 春から夏にかけて幼魚から成魚するまでを川で過ごし、秋になり成熟した鮎は川を下って(落ち鮎)卵を産み、卵を産んだ親鮎はそこで一生を終えます。  そして、卵から孵った仔鮎は、海に出て冬を過ごします。やがて春になり、成長した鮎は川を上りはじめます。
 しかし、現在、日本のほとんどの川にはダムがあります。日田鮎やな場のある「三隈川」もそのひとつです。
 ダム(夜明けダム)で域水区間があるため分断され、鮎は海からの遡上(そじょう)ができません。

水郷日田の川で育つ "地あゆ"
 遡上ができない環境を懸念して、日本各地で漁業協同組合が稚魚の放流をしています。日田の漁協もその一つです。日田漁協では 鮎だけではなくうなぎ・カニ・エノハなど中間育成し各地の川に毎年稚魚の放流をしています。
 鮎釣りを楽しみに各地から訪れる釣り人から頂く遊漁料ややな場が仕入れる鮎料で、日田漁協の放流が行われています。
 稚魚の放流は、5月の鮎漁解禁を前に毎年3月頃から行われています。
 私たちは、釣り人が川で獲った鮎を「地あゆ」と呼びます。

稚魚の育つ自然環境
 鮎はデリケートな魚です。汚れた水では生きられません。日田漁協では、"大山"という自然に恵まれた土地の池で、伏流水と地下水によって鮎を育てています。排水の汚染度を測り注意を促したり、積み重ねた経験と各地での研究をもとに、天然に近い鮎を探究し続けています。